「卒業研究発表会」

2月15日埼玉会館にて、埼玉福祉専門学校の選抜された
7つのグループによる「卒業研究発表会」が行われました。

おむつについて考える〜より良い介護を目指して〜
 介護でのおむつの交換について。全員のおむつが外せることが理想だが、現実では困難。利用する人が不快なく、介護者が排尿の有無を判断できる工夫はないかと研究。 センサー付きのおむつは実在するが、コードが付いていたり、コストがかかるということで、使用している施設は少ないという。
●紙おむつに工夫を…水分を吸収しちぎれる紙の性質を活かし、紙おむつの中に紙テープを通し、長めに外へ出して装着。軽く引っ張るだけでちぎれ、排尿の有無を判断できた。
●実際に施設で使ってもらう…使用は可能、おむつを空けずに判断できることはとても良い。しかし、職員が(工夫の)手間をかけることは難しい、また、おむつ会社からのコメントとして製品化することは可能でも商品化は難しい。コストはかかってしまう。
●コメント…介護において常に工夫を忘れず、より良い介護を追求する心をもち続けていきたい。(当日資料より)
施設の居室を考える〜快適なパーソナルスペースへのアプローチ〜
 施設内での居室は、一人一人のプライバシーを守る場所であるため、その環境について研究。
●利用者側は、環境的・感覚的要素を重視、職員側は、安全性・機能性を重視しているというアンケート結果が出た。
●双方の思いを実現するには、居室で利用者の方にリラックスしてもらい、精神的余裕を引き出し、それによって、安全性の確保につながればと、個人個人に合わせたリラックス方法を提案し実施した。
●コメント…私たちは常に何がベストなのか考え続ける姿勢・心がけ・気づきの心を大切にして現場に出ることをここに誓います。(当日資料より)
人と人とが寄り添うことのできる理念と実践〜スヌーズレンを普及させるためには〜
 慌しさを感じた施設実習の中で、援助者と利用者との心のふれあいについて考えた。今注目されているスヌーズレンに着目し研究をすすめた。
●環境設定を輸入のみに頼らざるを得ないため、費用がかかる。普及するために、費用がかからない手作りで同じ効果を得られないか実践、使用してもらい感想を聞く。
●細かな改善点はあったが高い効果が得られ、費用をかけずに実施することは可能?
●コメント…スヌーズレンによる利用者と援助者が寄り添う時間は、利用者の身体的・精神的変化に気づくために必要。私たちが就職してからもこの「気づき」をいつまでも持ち利用者と関わっていきたい。
【実際に作った器具…触覚刺激ボード(様々な触覚を味わえる素材をプラスチックボードに貼る)、毛糸ボンボンで作った柔らかクッション、点滅照明器具(クリスマスツリーに使う電飾を利用)】
地域が支えるひとつの家〜痴呆性高齢者の安らぎと誇りを守る心の縁側〜

 痴呆性高齢者グループホームについて認識を高め、増やしていくにはどうしたらよいか。
●個人に合わせた対応をするというグループホームの特性から人手が必要(人件費がかかる)⇒グループホームの数が増えない⇒認識・理解がされない⇒ボランティア等の協力を得ることが困難⇒人手の確保が難しい…
●リーフレットを作成し配り、認識を高めるため調査中。
●コメント…私たちはグループホームを《心の縁側》と考える。家にいても外にいてもお互い近づくことで、暖かい交流がもてる場所であり、グループホームを通し痴呆性高齢者と家族や地域が暖かい交流をもってもらいたいから。(当日資料より)
楽しくあそぼ〜興味を広げる絵本を作ろう〜
 障害児施設で実習した時、子どもが手にするおもちゃについて、1つの遊び方だけではなくいろいろな遊びが広がるおもちゃがあったら、より楽しめるのではないかと考え研究。
●おもちゃの中で絵本は、ページをめくることで展開がありこれに着目。安全性・耐久性・衛生面を考慮し、布製の絵本を5種類作り、実際に使ってもらった。
●今回の研究から、障害をもつ子どもたちにとって「おもちゃ=遊び」とは、保育士(関わる人)の促がし方によって大きく変化するものということがわかった。
●コメント…子どもたちのADL(日常生活動作)の形成や身体・情緒の発達に繋げるために、日々の生活の中で子どもの個性を把握し、個々に応じた目標を立てる援助をしていきたい。(当日資料より)
h福祉車両の情報を広めよう〜肢体不自由者のためのガイドブックを作る〜h
 福祉車両は、何らかの障害をもつ人が、介護者により移動する「介護車両」と、自らが運転するために補助装置を備えた「自走式福祉車両」の2種類がある。介護車両の情報が充実しているのに対し、自走式の情報は入手しにくく、また専門用語などが多く理解が難しいと感じ、情報を広めるための研究を進めた。
●「福祉車両ハンドブック」を作成(14Pで紹介)、県社協・障害者交流センター・埼玉県総合リハビリテーションセンター・OMIYAばりあふりー研究会に活用をお願いした。(現在も継続中)。行政センターでは置いてもらえなかった(2/15現在)。置いたところでは在庫がなくなることから、関心が高いことが伺える。
●コメント…今回の研究で福祉車両の情報提供のあり方について考え、ハンドブックを作った。常に新しくわかりやすい情報は必要で、卒業研究の範囲を超えるため、当事者団体などに情報の更新等を期待し、自走式福祉車両の普及によって、障害をもつ方の社会参加・行動範囲の拡大につながることをねがう。(当日資料より)
「のれん」から始まる社会復帰〜精神病院における視覚的プライバシー保護からの取り組み〜
 「心の病」の治療のため精神病院に入院し、一定期間を病院内で過ごし、治癒後社会へ復帰する。病院内では、患者さんの安全確保のため、部屋の仕切りやカーテン、トイレのドアが設置されず、医療者側の目が常に届くようになっていて、安全性とプライバシーの境に疑問を感じ、社会に復帰したときのギャップが生まれるはずと考えた。
 安全性を保ちながら、復帰した環境に少しでも近づけることができないかと研究。
●「トイレの入口」に注目、外からの視線の遮断について考え、低コスト・設置が簡単・ドアと比べ閉鎖性が低い(急な環境の変化は、患者さんの混乱を招く)、「のれん」の取り付けを提案した。
●「のれん」の存在から、ドアの設置やトイレの配置改善など徐々に私たちの環境に近づけられるのではとも考え、実際に病院の協力を得て、設置してもらった。
●「のれん」の設置によって、外からの視線を遮断する効果はあったが、患者さんの中には色々な意味で拒否的反応をみせる方も存在。しかしそれは、社会復帰の際に明らかに支障となる反応。
●コメント…研究のあと、病院側の意思でのれんの設置を継続しているところもある。のれんが、普通の生活環境へ近づけるためのステップになればと考える。病院では、ぜひ患者さん自身のプライバシーへの意識付けに取り組んでいただきたいと思う。(当日資料より)