今年もそろそろ落葉樹の落ち葉が、秋の香りを感じさせてくれる季節になりました。落葉樹は、その葉を落とした後、根からの水分吸い上げを減らし、休止活動に入ります。そして、暖かい春の訪れとともに活動の再開をします。対して、この会報の購読者は、福祉関係の職に就いている人が多いと思いますが、私たちの仕事は(本来自然のリズムと同じように、春夏秋冬があるのが望ましいのですが、)、年中無休、常に葉を茂らせている常緑樹の如く、悪戦苦闘の日々ではないかと思います。
前にも書きましたが、知的障害を持って生まれた人たちとこの社会が今後どのような形で新しい社会を創造するかは、福祉に関わる私達の努力次第ですが、「施設」から「地域」への大号令のもと、今までの仕組みが変わりつつあるこの数年が勝負になるかと思われます。制度的に措置費から支援費に変わり、国家予算の金銭的裏付けは乏しいものの、一応、「地域」で生きるための行政の体制は明確になりました。後は、私達が「どのような社会を望み」「どのような方法」で実現するかです。
理想を言えば、障害を持った子が生まれた場合、必ず、両親以外にもう一人、その子のことを知る、手助けができる人を「直ぐ」つけることができる、そして、救急病院の如く、24時間対応が「柔軟に」できる知的障害に特化した施設(既存の施設やグループホームとは異なる)を作れればと思っています。例えば、今どこの病院でも当たり前にいる看護師は、その昔、ボランティアとして医師のお手伝いをするだけの存在だったかもしれません。しかし、医師のサポートをする専門職としてその地位が確立され、仕事となり、24時間体制に現在は確立されています(勿論労働条件等にいろいろ問題はありますが)。勿論、今すぐにとは言いません。
社会は動き、10年前まで、ボランティアの仕事でしかなかった、外出援助や余暇援助が、とりあえず、金銭をいただける仕事として認められるようになりました。でもまだまだ量も質も足りません。更に、ケアマネ的な仕事や、精神面、医学面でのケアができる仕組み、障害児という個人というとらえ方でなく、その家族(特にお母さん)を総合的にサポートする仕組み作り(一部、現在あります)。本来、行政が音頭をとって行くべき事項もありますが、ソフト面の遅れを本気で行政が取り戻すつもりがないのであれば、私達でやっていくしかありません。
勿論、私達の目の前の課題としては、まだまだ需要に追いついていないこの仕事に携わる方々の量と質の向上になります。こればかりは、身体の障害をお持ちの人とか、高齢者の介護とは異なり、独自のノウハウを自分達で蓄積しなければなりません。ともあれ、時代は動いています。新しい良き未来をともに作っていきましょう。
皆さんの理想とする社会はどのようなものですか?今度聞かせてください。/プロペラ代表 熊川英輔